アップライトスピン:ビールマンスピン、レイバックスピン、キャンドルスピンなど

ここでは、フィギュアスケートのスピンの一種であるアップライトスピンについて詳しく解説していきます。

アップライトスピンの定義

アップライトスピンとは、「滑っている方の足(スケーティングレッグと言います)がまっすぐに伸びているスピン」のことです。

「スピンの種類と見分け方」で説明したとおり、スピンは3種類に分けられるのですが、足の状態と胴の状態を見れば判別できます(例えば、キャメルスピンは「スケーティングレッグがまっすぐで、胴体が水平になり、両者がT字型を成すもの」を指します。中には、キャメルスピンの姿勢から変形する、キャッチフットというスピンがありますが、これはキャメルスピン由来ではありますが変形の過程で胴の状態が水平ではなくなるので、アップライトスピンに分類されます)。

アップライトスピンのバリエーションとして、以下のようなものが挙げられます。

クロスフット

一番基礎となる、左軸のスタンドスピンのことです。スケーティングレッグのエッジに乗ってバランスをとり、体軸が定まったら逆の足をクロスさせて高速回転を始めます。両足とも氷に着いているように見えることがありますが、着氷しているのは軸足だけです。

回転を早めるために、両腕は胸の前で強く締めるか、または頭上に上げてひじを締めます。

バックスクラッチ

クロスフットと逆で、右軸で回るスピンです。右バックアウトに乗り、体軸が定まったら左足をクロスさせます。ジャンプの空中姿勢と同じ姿勢になるため、ジャンプの練習としても行います。

I字スピン

アップライトスピンの姿勢でフリーレッグを前方から高く持ち上げ顔の前までもっていきます。体がアルファベットの「I」の字に見える状態で行うスピンです。軸足の膝を伸ばし、開脚が180度に近くなるほど美しく見えます。シットスピンから変形で行うことが多いです。

Y字スピン

シットスピンやアップライトスピンの姿勢から、フリーレッグのかかとをもち横に高く広げ、体がアルファベットの「Y」の字に見える状態で行うスピンです。上体をやや斜め後ろにそらせると美しく決まります。

A字スピン

アップライトスピンの姿勢から、両膝を伸ばして前屈し、両手で両足首を掴みます。全体として「A」の字に見えます。

ショットガンスピン

アップライトスピンの姿勢から、フリーレッグを前方に水平以上にあげた状態で行うスピンです。「ト」の字を逆さまにしたようなポジションになります。一時期男子選手の間で流行っていました。

レイバックスピン

女子のスピンの華です。頭を大きく反らせて腰、背中で美しいカーブを描きます。

視線は上の一点に定めると美しく見えます。ただしそうすると体の軸が取りにくいので、練習し始めの時は、上を見た時に天井に見える不動点を定めて、そこから視点がぶれないようにして訓練していきます。

腕は、左右に柔らかく広げるか、胸の前でクロスして引き寄せるなどすると美しいです。

ヘッドレススピン

レイバックスピンの変形です。レイバックスピンで、手を組み肘をあげて頭と同じ高さまでもっていくと、腕の陰に隠れて頭が見えなくなるため、こう呼ばれます。スイスのランビエール選手のスピンが有名です。

ビールマンスピン

レイバックスピンから、フリーレッグを順手でつかんで持ちあげ、靴が頭の真上に来るくらいまで前方にもってきた姿勢です。足は180度に近い開脚をして背中も大きく反るので、幼少からストレッチを行なう等して高度な柔軟性を持った選手以外にはほとんど行なうことができない、難易度の高い技です。筋肉量の関係で、男性でこれを行なえる選手は非常に少ないですが、羽生結弦選手を始め、ショーン・ソーヤー選手、デニス・テン選手、柴田嶺選手、マイケル・クリスチャン・マルティネス選手などがビールマンスピンを披露しています。

スイスのデニス・ビールマン選手が始めたので彼女の名前を冠してこう呼ばれています。

キャッチフット

キャメルスピンの中のドーナツスピンと同じ要領で、滑っていない方の足を持ち、上に持ち上げます。

足を持っていない方の手を前に出すと、動きがついてダイナミックに見せられます。さらに足を大きく持ち上げてビールマンスピンに近づけるアレンジも行えます。

キャンドルスピン

1998年生まれの、ロシアのユリア・リプニツカヤ選手だけができるとされているスピンです。

ビールマンスピンの姿勢から更に高く足を持ち上げ、背中ごしに右足にぴたりとくっつけ高速回転するスピンです。足は180度の開脚となり、体全体が完璧に1本の線をえがき、まるでろうそくに見えることから、リプニツカヤ選手自ら「キャンドルスピン」と名付けたそうです。

高い柔軟性が求められる技ですが、リプニツカヤ選手の母親のダニエラさんは、幼少期からストレッチを施していたそうです。

 

以上が、アップライトスピンの主なものになります。