フィギュアスケートの衣装(コスチューム)について

ここでは、フィギュアスケート選手の演技に欠かせない要素、衣装(コスチューム)について解説します。

衣装のルールと罰則

衣装について、実はルールが定められています。もしそのルールを守らなかった場合は1回の転倒と同じ、マイナス1点の減点となります。ですから、選手たちは衣装にも相当気を使っています。

過度に素肌を見せてはいけない

「裸体を連想されるものは禁止」とされています。とくに明確な規定はなくジャッジの印象で判断されます。女子選手で肌が露出しているように見えても、肌色のストレッチチュール生地で覆われているのはこのためです。また、寒いリンク上では薄い生地でも一枚覆いがあるだけで暖かさが変わるそうで、寒さで緊張を増すことを防ぐ役割もあります。

ちなみに肌の露出が多いために減点された選手はまだ一人もいないそうです。

なお、男性はズボンを着用せねばならず、タイツは禁止されています。

 

衣装の装飾は取り外しできるものは不可

衣装に付いている装飾は衣装にくっついていなければならず、もし髪飾りや衣装の装飾がとれて、氷の上に落下させたら減点です。2012年全日本フリーにおいて、高橋大輔選手の衣装から羽根が落ちたため1点減点されることがありました。

 

ヴィット・ルールとは?

上記の、肌の露出や装飾に関するルールは、オリンピックを2連覇し、カルガリーオリンピックでの妖艶なフリー演技「カルメン」によって伝説的な存在となった、カタリナ・ヴィット選手の衣装が物議をかもしたため、作られたものです。そのためこうしたルールを「ヴィット・ルール」と呼びます。

ヴィット選手は美貌とスタイルと技術において申し分のない選手で、衣装も華やかで斬新で話題となりましたが、羽根や帽子などの装飾や、スカート部分が羽根だけのハイレグ衣装などが、「セクシーすぎる」と判断されたため、その後このようなルールが出来上がりました。

 

小道具の禁止

エキシビジョンでは、旗、シルクハットなど様々な道具が登場し演技を盛り上げてくれますが、競技では禁止です。

 

女子は、シングルとペアはパンツスタイルでも良い

2004年より、女子シングルとペアにおいて、女子選手もパンツスタイルで演技できることになりました。ただし、アイスダンスでは女子のパンツスタイルはいまだに禁止で、スカートは腰回りをくるんでいなければなりません。これは、アイスダンスがフィギュアスケートの中でも最も古いスタイルで格式も高いためです。またスカート丈については、激しい動きが少ないアイスダンスでは、長めのスカートでも演技をさまたげないということも関連します。

以上が、衣装のルールについての解説でした。以下では、デザイナーが衣装をデザインする際に気を配る点を解説します。

 

衣装を作る際は照明を意識

エキシビションとは異なり、競技はあくまでスポーツなので、スポットライトのような照明効果はありません。そのため通常の照明でいかに効果的にキラキラ光るかがポイントとなります。そのためラインストーンなどを布に縫い付けるなどの工夫がなされます。

 

衣装の素材について

衣装は、選手の激しい動きにフィットするよう、タテヨコにのびる2ウェイ素材を使用します。具体的には、「パワーネット」あるいは「ストレッチチュール」と呼ばれる、ネット状で2ウェイの素材が使われることが多いです。

スカート部分は絹のジョーゼットが使われることが多いです。軽く、風になびいた時の動きが軟らかくて美しいためです。

またシルクは染めやすいので、グラデーションカラーのスカートを作ることもできます。

 

衣装の構想

衣装を誰がつくるかは、コーチが指定することが多いです。曲と振付が決まり、練習も始まった段階で、デザイナーは選手、振付師と相談して衣装のイメージを作っていきます。カルメン、火の鳥などの有名な曲では、歴代の選手によってイメージがある程度定まっているので、その流れを継承しつつ、その選手らしさや新しさを演出できるよう工夫がなされます。

 

オーダーメイドのこだわり

スカートの長さひとつとっても、人によって腰のハリ具合や脚の形が違うため、どこがベストとは一概にいえないそうです。ただし、長すぎると、シットスピン(しゃがんだ状態で回るスピン)でスカートのすそを踏む危険があるので、長さには限界があります。またアイスダンスでは腰回りを覆わなければならないという規定があります。

 

スケート靴を覆うタイツについて

靴までかぶせるタイプの肌色のタイツは「スケート用タイツ」として販売されています。ウエストまであるパンストの形で、裾部分を広げて靴にかぶせます。利点は、脚長に見えること、靴の汚れを隠せること、靴ひもがほどけないことなどです。ただし選手の中には、足が大きく見えると言って嫌う人もいます。

 

 

以上が衣装に関する解説でした。選手やデザイナーのこだわりが詰まった衣装にも注目して観戦してみましょう。