ベーシックスキル:スケーティングとエッジワーク、練習法など

ここでは、スケーティングスキルについて解説していきます。

フィギュアスケートにおいて、全ての技術の礎となる二大要素と言われているのが、スケーティングとエッジワークです。

スケーティングとは

その名のとおり、滑ることです。演技の中で何もせずにただ滑ることはめったにありませんが、滑りの質を高めることは全ての技の質を高めることに通じます。

それでは、良い滑りとはどんなものでしょうか。すなわち、一歩でのびやかに進み、減速しない滑りのことです。そのためには、「ダイヤモンド」と呼ばれる、エッジの中で一番滑る一点を見つけ出すことが重要です。よく「氷に吸い付くようなスケーティング」と評される滑りはこのダイヤモンドに乗ることで生み出されます。ダイヤモンドを見つけ出すには、とにかくたくさん滑って探していくしかありません。

エッジワークとは

エッジワークとは、スケートの刃にあるエッジの使い分けのことです。エッジは、靴の左右、刃の内側か外側か(インかアウトか)、それから進行方向が前か後かによって、2×3=8通りの組み合わせがあります。これを機敏に使い分けることが、正確な滑りに必要なスキルです。

また、エッジは深さも重要です。深いエッジは加速を生むことができますし、またエッジの深さを調整することで滑りのスピードに緩急をつけて表現力を高めることもできます。

良いスケーティングのための練習法:ストローク

美しいスケーティングを身につけるために、選手たちは初期にストロークを繰りかえし学びます。

まずは足をそろえて立ち、左足に体重をかけて右足で氷をプッシュし、前方に進みます。この時、はた目にはまっすぐ進むように見えますが、実ははじめは膝に体重をかけてアウト、しばらくしたら膝を伸ばしインに体重をかけるので少し軌道はカーブします。足を変える前に身体の中心に重心をもってきてお腹をひきあげます。そして両足がそろったら今度は右足に重心を置き、左足で氷をプッシュしていきます。

美しい滑りに必要なのは重心の移動

上記の説明から分かるとおり、フィギュアスケートにおいて重要なのは重心の移動です。膝を柔らかく使って曲げ伸ばしすることで重心を調整します。スピードスケーターのように重心を落として足に体重をかけると速やかに加速して力強い滑りになります。また重心を上の方にもってくるとエッジが浅い滑りになり優雅さや微妙な表現に適した滑りになります。

良いエッジワークのための練習法:コンパルソリー

コンパルソリーとは、フィギュアスケートの前身となる協議で、図形(フィギュア)をリンク上に正確に描く競技のことです。1990年の世界選手権を最後に廃止されていますが、練習のために行う選手は多くいます。伊藤みどり選手は、最後のコンパルソリー競技経験を持つ世代の選手でしたが、毎日黙々とコンパルソリーの練習をしていたそうです。この競技で培ったエッジワークの正確さが、トリプルアクセルを成功させる技術を生み出したと言えます。

エッジワークとスケーティングの二大要素

エッジワークとスケーティングという、フィギュアスケートの二大要素においてどちらを重要視するかは場所柄によって異なります。欧州ではエッジワーク、北米ではスケーティングを重視する傾向にあります。

エッジワークの欧州

フィギュアスケートの伝統を守り古典的な滑りの美しさを重視する欧州では、エッジワークが重視されます。コンパルソリーの発祥の地である欧州の選手は、今なおコンパルソリーや、フットワークの練習に時間をかけています。

特にロシアでは、正確なエッジワークを重視しつつバレエの動きを取り入れることを追及してきました。またフィンランドでは、繊細な氷へのタッチが重要視されています。フィンランドのラウラ・レピスト選手は「スケーティングは毎日重点的に練習します。氷を蹴らないで、滑らせて進むように、とよく言われます」と語っています。

スケーティングの北米

一方、スピード感のある力強いスケーティングを重視しているのが北米です。例えばカナダのパトリック・チャン選手は、ただ加速するためだけの動作が少なく、なめらかにトップスピードに達して、迫力ある滑りを見せます。彼をはじめとして、北米の選手は、一般的にスケーティングに重きをおいた雄大でのびやかな滑りが魅力です。

スケーティング、エッジワークともにフィギュアスケートの要であり、どちらがより重要ということではありません。ただ、どちらの技術をより伸ばしていくかという点に、選手の個性や国、地域の美意識が反映されており、それを知ることで、観戦がもっと面白くなるはずです。