フリップジャンプとは?跳び方、エッジ判定と近年の動向

ここでは、ISUが定める6種類のジャンプのうち、フリップジャンプについて解説します。

フリップジャンプとは

フリップジャンプは、ルッツジャンプとよく似ています。右のトウをついてジャンプする点は共通しており、ルッツは左足のアウトエッジに乗り、フリップは左足のインのエッジに乗る点が異なります。観戦者にとっても見分けがつけにくいジャンプです。ルッツとの見分けがつけられたら観戦上級者と言えます。

ISUの定める6種類のジャンプのうち、難易度は中程度です。名前の由来は「Flip(反転する)」という英単語から来ています。

また、トウサルコウとも呼ばれることもあります。

 

フリップジャンプの跳び方

跳び方は、まず助走に2種類の流れがあります。右足から左足へ踏み変えるモホークを行うものと、左足のままスリーターンするものです。いずれにせよ後ろ向きで左足のインのエッジにのって助走し、右足を後ろに下げてトゥを突く体勢を取り、それから右トゥを滑走しているカーブの延長上に突くことになります。この時体軸は左のままにしておきます。そして踏み切る前に上半身が回転してしまわないように右手はギリギリまで右後ろにひいておきます。

踏み切ったあとは右軸に重心を換えて、頭から右足のラインで体軸を作ります。

フリップジャンプでは、左足インサイドのエッジが描くカーブから生まれる回転力と、軌道の延長線上にトゥをつく事によってうまれる回転力の2つが主な回転のエネルギーとなります。

 

サルコウとの難易度の違い

フリップはサルコウとほとんど同じ内容のジャンプなのですが、フリップの方が難易度が高いとされています。それは、踏み切り時の体の向きの違いによるものです。

サルコウは踏み切りの前に右足を回転方向に振り上げて、すでに少し回転した状態を作っています。一方で、フリップは右足をトゥを付くために後ろに下げるので、どちらかというと体の向きがやや回転方向と逆の方向を向いた状態で跳び上がることになります。これによって実質的な回転数は、フリップジャンプの方がやや多くなるため、難易度が高いとされます。ただし浅田真央選手のように、サルコウよりもフリップの方が得意という選手もおり、難易度の感じ方には多少の個人差があります。

 

エッジ判定

フリップジャンプを跳ぶ際、アウトサイドエッジで踏み切ってしまい、実質ルッツジャンプとなってしまった場合は減点されます。また、明らかに不正、もしくは明らかな不正とは言えないまでも不正確なエッジでの踏み切りが行われた場合はエッジエラー(e)となります。この時、演技審判はエッジの不正確さ加減を各自判断し、GOEにおいてこの宣言を考慮した評価をしなければなりません。エッジエラーのフリップジャンプはリップと呼ばれることがあります。

 

フリップジャンプの基礎点

基礎点は、アクセルジャンプ、ルッツジャンプの次で、3番目に高く設定されています。

 

フリップジャンプの発祥

フリップジャンプは考案者がはっきりしていない唯一のジャンプです。俗説としては、トウループジャンプを初めて成功させたアメリカのブルース・メープス選手が、1913年にフリップジャンプにも成功したとされています。1930年代迄には既に頻繁に行われるようになっていたようです。

 

フリップジャンプの進化

1970年代には既に多くの男子選手が3回転フリップジャンプを成功するようになりました。1981年には、妖艶なカルメンの演技で伝説的な存在となり、衣装に関して俗に「ヴィット・ルール」と呼ばれる規定ができる端緒を作った東ドイツのカタリナ・ヴィット選手と、西ドイツのマヌエラ・ルーベン選手が、ともに女子選手として初めてトリプルフリップジャンプに成功しました。

 

4回転フリップジャンプ

4回転フリップジャンプは、長らく成功する選手が現れませんでした。2010年世界選手権から、高橋大輔選手が挑戦していましたが、回転不足や両足着氷となり、成功しませんでした。

2016年4月、アメリカ・ワシントン州スポケーンで行われた、北米・欧州・アジアによる3大陸対抗戦「コーセー・チームチャレンジカップ」の男子ショートプログラムにおいて、宇野昌磨選手が4回転フリップジャンプを成功させました。これが公式戦で4回転フリッツジャンプが成功した世界初の瞬間でした。

女子ではまだ4回転フリップを成功させた選手はいません。

なお、4回転フリップは羽生結弦選手も練習中のようです。