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メドベージェワ「フリープログラムのテーマは『愛は世界を救う』」

ジャンプの中ではアクセルが苦手だと言う彼女は、トリプルアクセルよりも4回転サルコウを視野に入れているようだ。世界選手権の優勝候補に躍り出たロシアの新星が、平昌オリンピックに向けた道のりをどう歩んでいくのか。注目すべき選手が、また一人現れた。

近年のフィギュアスケート女子シングルは、ロシア選手の層の厚さが際立っている。ソチオリンピックで金メダルを獲得したアデリナ・ソトニコワに、昨シーズンのグランプリファイナル、欧州選手権、世界選手権で優勝したエリザベータ・トゥクタミシェワ。その少し下の世代にも、ユリア・リプニツカヤやエレーナ・ラジオノワ、アンナ・ポゴリラヤなど、実力を兼ね備えた選手が数多くいる。

そんな中で、今シーズンにシニアデビューした新星がいる。エフゲニア・メドベージェワだ。2014年−15年シーズンにジュニアグランプリファイナルと世界ジュニア選手権を制し、ジュニアのタイトルを総なめにした彼女は、シニアデビューとなる今シーズン、初戦のスケートアメリカで優勝を果たすと、グランプリファイナルではショートで74.58︎点、フリーで147.96︎点、合計222.54点を獲得し、自己ベストを大きく更新して表彰台の頂点に立った。ロシア選手権でも、参考記録ながら合計234.88点と世界記録を越える点数を出して優勝し、他を寄せつけない強さを印象付けた。

欧州選手権優勝後、メドベージェワはアメリカのメディアの取材に応じ、今シーズンのプログラムに込めた思いや、将来のことについて語った。

 

◆「私は世界に心を開いて滑り始める」

メドベージェワが今シーズンのフリーに選んだのは、映画『ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋』のサウンドトラックだ。耳を両手でふさいで下を向いたポーズから始まり、怯えるような表情から、微笑みをたたえた表情に変わって滑り出す。このプログラムについて、彼女は次のように語っている。

振付師とコーチは、長い時間をかけて、私がこのプログラムでやらなければならないことを説明してくれました。ショートプログラムよりも理解するのが難しかったです。演じるキャラクターが全く違うものでしたから。私にとって、理解するのが本当に難しかったです。

私は世界に背を向けて、自分自身の中へと向かっていきます。世界を恐れているのです。そのあと、耳をふさぐのをやめて、世界に開かれ、音楽に耳を傾けることができるようになるのですが、ふたたび世界が怖くなります。それでまた耳をふさいで、音楽の激しさはひそんでいきます。やがて、世界はそんなに恐れるべきものではないということがわかり、私は世界に心を開いて、滑り始めるのです。すべての人が平和と喜びのなかで生きなければならないということを発見する旅に出るかのように。それが、このプログラムのメインストーリーです。つまり、「愛は世界を救う」ということです。

メドベージェワは、世界に対する恐れを乗り越え、心を開いて前へと踏み出そうとする心情の変化が、プログラムの核にあると語っている。シニアデビューしたばかりとは思えない演技の細やかさは、彼女自身のプログラムへの深い理解に支えられている部分が大きいだろう。

 

◆4回転サルコウへの挑戦

表現面が目を引く一方で、今シーズンのメドベージェワの強さは、後半に組み込む連続ジャンプや、両手を上げて加点を稼ぐジャンプなど、技術面で安定して高い点数を稼げるということを抜きにしては語れない。今後、トリプルアクセルや4回転に挑戦する可能性について聞かれた彼女は、次のように答えている。

今シーズンはまだやらないと思います。もしかしたら、シーズンの最後に4回転サルコウに挑戦するかもしれません。でもまだわかりません。まだ試したことはないので。コーチはどのタイミングで何をすべきかをしっかり把握していると思います。

ジャンプの中ではアクセルが苦手だと言う彼女は、トリプルアクセルよりも4回転サルコウを視野に入れているようだ。世界選手権の優勝候補に躍り出たロシアの新星が、平昌オリンピックに向けた道のりをどう歩んでいくのか。注目すべき選手が、また一人現れた。

Medvedeva’s message: ‘Love saves the world’